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新興国マンスリー(2018年2月) 新興国マンスリー(2018年2月)適温相場は終わったのか? | リサーチ | 大和総研グループ | 児玉 卓|齋藤 尚登|齋藤 尚登|永井 寛之|中田 理惠

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(1)

株式会社大和総研丸の内オフィス 〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウノースタワー

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2018

2

5

36

新興国マンスリー(

2018

2

月)

経済調査部

経済調査部長

児玉

主席研究員

齋藤

尚登

主席研究員

山崎

加津子

研究員

永井

寛之

研究員

中田

理惠

[

目次

]

適温相場は終わったのか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2

ブラジル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4

ロシア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6

インド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

8

中国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10

インドネシア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

12

フィリピン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

14

タイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

16

ベトナム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

18

2018

1

月新興国動向(政治・経済)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

20

政治・経済日程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

23

統計資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

27

新興国関連レポート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

36

(2)

適温相場は終わったのか?

~新興国リスクプレミアムに注目~

経済調査部長

児玉

[

要約

]

このところの米国の長期金利の上昇と株価下落は、適温相場の終焉、その根拠となって

きた、速すぎない成長と低いインフレ率・賃金上昇率のバランスの崩壊を示唆している

のだろうか。適温相場がいずれ終わることは自明だが、その際には世界的な景況感の変

調によるリスク許容度の低下と金利上昇の両面から、新興国が多大なダメージを受ける

はずである。しかし現状、傾向的には新興国に要求されるリスクプレミアムの低下が継

続しているなど、世界経済に対する市場の見方が決定的に変化しているわけではないよ

うにもみえる。

差し当たり、米国の税制改正やインフラ投資の景気刺激効果のほどを見極めるプロセス

が必要なのだろう。税制改革の効果が極めて限定的という、例えば

Tax Policy Center

等の見積もりの確からしさが増し、またインフラ投資が絵に描いた餅に終わるのであれ

ば、適温相場が今年いっぱい続いても不思議ではない。

金利上昇で適温相場に変調?

トランプ米大統領は

1

30

日に行った一般教書演説で、

1.5

兆ドルのインフラ投資関連法案

の策定を議会に求めた。幸いなことに、その資金の裏付けはなく、これを額面通りに受け止め

ることは著しい過大評価となろう。今更言うまでもないが、現在の米国は景気刺激を必要とす

る状態にはない。インフラ投資が不要ということではないが、今、この時点で大々的な投資拡

大に動くことは、目先の景気過熱と景気拡大期間の短期化をもたらす可能性が高い。

1.5

兆ド

ル」が空疎なスローガンであればあるほど、米国経済、ひいては世界経済には望ましいという

ことだ。

このところの米国の長期金利の上昇を、いわゆる適温相場の変調の兆しとみる向きがある。

適温相場の継続の条件は、速すぎない成長と加速しないインフレ率が両立することであり、そ

れを支える低い賃金上昇率が続くことである。従って、景気の過熱はこれを崩す有力なルート

であり、それと長期金利の上昇は整合的である。景気過熱により労働市場のひっ迫が一段と進

むことで賃金の上昇率が加速すれば、政策金利の引き上げペースは速まらざるを得ない。それ

を見越して足元の長期金利が上昇するというパターンである。そして、想定以上の金融引き締

めが景気拡大を終わらせるという予想をもたらせば、株価には逆風である。まさに足元の市場

の動きと合致しているようにみえなくもない。

(3)

興国である。世界的な景況感の悪化によるリスク許容度の低下、米国の金利上昇の両面から新

興国関連資産は売られやすくなる。しかし、現在はそのような状況にはかなりの距離がある。

特に顕著なのが、米国株価が大幅に調整した

2

2

日こそ若干拡大したものの、傾向的には新

興国国債に要求されるリスクプレミアム(ソブリン・スプレッド)の低下が継続していること

である。為替レートはまちまちながら、資源国通貨の多くは対ドルで堅調を維持している。こ

れらは、世界経済に対する市場の見方が決定的に変化しているわけではないことを示唆してい

よう。

税制改革等の景気刺激効果を見極める局面

もちろん、いずれ適温相場は終わる。例えば、このところの資源国経済の堅調は、世界的な

景気拡大プロセスが相当成熟化していることを示している。ブラジルやロシアのマイナス成長

脱却をもって、世界経済は落ちこぼれの少ない拡大局面に入ったのだが、その時点ですでに先

頭集団の拡大余地は縮小してきているということだ。追加的な労働供給の余力が消失すれば景

気拡大は止まるし、そこまでいかずとも、

1

月の米国の賃金統計が市場を震撼させたように、昨

年までの労働需給のひっ迫が賃金上昇率を加速させなかったのは、両者の関係が壊れたからで

はなく、需給ひっ迫の度合いが賃金上昇を加速させる閾値を超えていなかったからにすぎない

可能性がある。

1

月の米国の賃金統計は、時給の上昇が労働時間の短縮で相殺され、マクロベー

スの賃金がむしろ減少する結果となり、持続的な賃金上昇の端緒であったかは即断が困難であ

るが、昨年末に決まった米国の税制改革、そして(本当に顕著に拡大するのであれば)インフ

ラ投資による景気加速・過熱がそのきっかけを与えるというのは十分にあり得るシナリオであ

る。

しかし、米国の超党派シンクタンクである

Tax Policy Center

などが米国の税制改革の景気

刺激効果を極めて小さく見積もっているように、金融市場も恐らくは、税制改革やインフラ投

資のマクロ的なインパクトのほどを織り込み切れてはいない。差し当たりは、これらを見極め

る作業が必要なのだろう。例えば、家計関連では、限界消費性向が低い富裕層により大きな恩

恵があること、企業関連では総じて緩和的な金融環境が継続し、潤沢なキャッシュフローを抱

える企業が多い中、その追加的な増加が設備投資を刺激する効果は低いとみられることなどが

効果の「小ささ」の主たる根拠であるが、アップルが

300

億ドルを米国内で投資し、雇用を拡

大する他、ウォルマートや

AT

T

は社員に

1,000

ドルの一時金を支給、ウォルマートなどは最

低賃金も引き上げると伝えられている。こうした実例の積み重ねが、当初の想定を覆すかどう

かが問題となろう。そして、こうした動きが金融市場の新興国離れと併存するようになれば、

いよいよ適温相場終焉の可能性が濃厚となる。

一方、米国の失業率は昨年初めより、議会予算局が算出する自然失業率を下回る状況にある

が、過去の経験からすると、両者の逆転がすぐさま賃金上昇を引き起こし、景気拡大を終わら

せるわけではない。

2006

年から

2007

年にかけては逆転が

5

四半期続いた後に失業率は上昇に転

じた。

97

年から

2000

年にかけては、その期間が

3

年半に及んだ。米国の税制改革の景気刺激効

果が極めて小さく、インフラ投資が「絵に描いた餅」にすぎないとなれば、適温相場が今年い

(4)

ブラジル

児玉

ルラ退場で一安心は本当か?

1

24

日、収賄等により一審で有罪判決を受けていたルラ元大統領の二審が行われ、控訴裁

判所は一審判決を支持した。ルラ氏には依然異議申し立てを行う余地が残されているが、それ

が却下された時点で有罪が確定する。

二審判決はブラジルの株価、レアルを上昇させた。ルラ氏は

10

月に行われる大統領選挙への

出馬を表明しているが、有罪が確定すればそれが不可能になる。金融市場はルラ大統領復活の

可能性が相当程度後退したことを歓迎したのだ。ルラ氏は、現職のテメル大統領による構造改

革、緊縮財政路線を否定しており、ルラ政権の発足は(すでに膨らんでいる)財政赤字の一段

の拡大とレアルの下落、物価と金利の上昇、それがもたらす再度の財政赤字の拡大という悪夢

のシナリオを想起させるからである。

一方、ルラ氏はテメル大統領と異なり、相変わらず国民の人気が高く、世論調査では大統領

に最も近い候補者である。しかし、この人気の背景に問題がある。恐らく、部分的にせよ、ル

ラ待望論は

2003

年から

2010

年まで大統領職にあった同氏の「実績」に立脚しているのであろ

う。しかしこの間、リーマン・ショックをはさみながらも、総じてブラジルの景気が良かった

のは確かだが、それは資源価格上昇、中国経済二けた成長という強烈な追い風の結果でもあっ

た。ルラ氏が際立っていたのは経済政策の手腕ではなく、巡り合わせの良さである。

いずれにせよ、ルラ大統領復活の可能性の低下はブラジル経済にとって、グッド・ニュース

である。しかし、それで一安心とはいかないのではあるまいか。そもそも、テメル大統領の人

気のなさ、ルラ氏の人気の高さはブラジル国民の緊縮嫌いを示唆している。世論調査では、ル

ラ氏に続く二番人気として極右候補の名前が挙がっているが、誰が大統領になるにせよ、テメ

ル的緊縮・構造改革路線を継続することの政治的リスクの高さは考慮せざるを得ないだろう。

選挙戦自体がばら撒きメニュー合戦にならないとも限らない。

今が最良の時か

財政緊縮の手が緩めば、金融政策は現行よりも引き締め気味になる。それが金利の上昇を通

じて財政赤字削減を難しくする。こうした見通しが金融市場で優勢となれば、レアルの足元は

脆弱となり、ブラジル国債等に対するリスクプレミアムが拡大する。

10

月の大統領選挙が近づ

くに連れ、金融市場の次期大統領候補の財政スタンスに対する注目度は高まらざるを得ない。

しかし、既述のように、多かれ少なかれ、次期大統領は現行政権よりも財政スタンスを緩和さ

せる可能性が高いのである。

足元のブラジル経済は着実な回復過程にあり、すぐさま景気が下降に転じる懸念は小さいも

のの、年後半に向け、金融市場の変調を起点として、景気がピークアウトに向かう可能性があ

(5)

ブラジル

経済・金融データ

出所:Haver Analyticsより大和総研作成

経済日程

注:<>内は指標の対象期間。日程は変更されることがあります 出所:Bloombergより大和総研作成

-60 -40 -20 0 20 40 60 80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80

2016 2017 2018

(%)

(億ドル) ブラジル 貿易収支

貿易収支(実額、左軸) 輸出(前年比、右軸) 輸入(前年比、右軸)

-15 -12 -9 -6 -3 0 3 6

2016 2017 2018

(%) ブラジル 鉱工業生産(前年比)

0 2 4 6 8 10 12 14 16

2016 2017 2018

(%) ブラジル 消費者物価、政策金利

消費者物価(前年比) 政策金利(Selicレート)

0.026 0.030 0.034 0.038 0.042 2.6 3.0 3.4 3.8 4.2

16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 ブラジル レアル 為替相場

対ドル(左軸) 対円(右軸)

レアル安

2018

2月 5-10日 自動車販売・生産・輸出(Anfavea) <1月> 3月 1日 GDP <10-12月>

8日 インフレ率 <1月> 1-6日 貿易収支 <2月>

9日 小売売上高指数 <12月> 5-6日 CNI生産設備稼働率 <1月>

23日 FGV建設コスト <2月> 5-10日 自動車販売・生産・輸出(Anfavea) <2月>

インフレ率(IPCA-15) <2月> 6日 鉱工業生産 <1月>

23-3月1日 税収 <1月> 9日 インフレ率 <2月>

26日 経常収支 <1月> 13日 小売売上高指数 <1月>

対内直接投資 <1月> 23日 インフレ率(IPCA-15) <3月>

27日 ローン残高 <1月> 経常収支 <2月>

融資残高 <1月> 対内直接投資 <2月>

27-28日 中央政府財政収支 <1月> 26日 FGV建設コスト <3月>

28日 失業率 <1月> ローン残高 <2月>

基礎的財政収支 <1月> 融資残高 <2月>

27-28日 中央政府財政収支 <2月>

28日 基礎的財政収支 <2月>

(6)

ロシア

山崎

加津子

原油・天然ガスを輸出して稼ぐロシア

エネルギー省中央流通局の発表によると、ロシアの原油生産量は

2017

年まで

9

年連続で拡大

し、

1991

年の体制移行後の最高水準を更新した。ただし、

OPEC

とロシアを含む非

OPEC

産油国

2016

11

月に合意した協調減産に基づき、

原油生産量は緩やかながら減少傾向にあるため、

2016

年と

2017

年を比較すると伸び率はわずか+

0.1

%にとどまった。協調減産は

2018

年末まで

続けられることが合意されており、

2018

年の原油生産量は

2017

年を下回ると見込まれる。

なお、

2017

年の原油の輸出数量もほぼ前年並みで推移した。ただ、協調減産効果もあって原油価格が

上昇したため、原油の輸出金額は

1

11

月合計で前年比+

29.0

%と急拡大しており、これは政

府にとって税収増のプラス効果をもたらす。

一方、天然ガス最大手のガスプロムのミレル

CEO

によれば、同社の

2017

年の天然ガスの生産

量は前年比+

12.4

%と大きく伸び、過去最大になった。輸出量も欧州・トルコ向けが同+

8.1

となるなど、やはり過去最大になったとされる。欧州では

2014

年のロシアによるクリミア併合

とそれに続くウクライナ紛争を契機に、エネルギー資源分野でロシアに対する依存度を低下さ

せるべきとの意識が高まった。ところが、一方で温室効果ガスの削減目標を達成する必要があ

り、欧州ではまず石炭火力発電の削減が課題となっている。結果として、欧州のロシアからの

天然ガスの輸入は

2017

年に過去最大となったと推測される。

ロシアは複数のガスパイプラインの敷設を進めており、天然ガスの輸出は今後も拡大すると

見込まれる。

2016

年に合意したトルコへのガスパイプラインの

1

本目はすでに稼働しているが、

トルコからギリシャを経由して欧州への天然ガス輸送を目論む

2

本目のガスパイプラインも

2019

年に完成予定である。一方、バルト海を経由してドイツへの天然ガスの輸送を目指すパイ

プラインについては、工事の承認手続きが遅れているが、ロシア側は

2019

年末の稼働を目指し

ている。また、

2014

年に合意した中国向けの天然ガス輸送のためのガスパイプラインは完成予

定が

2018

年から

2019

年末に後ずれしているものの、完成すれば

30

年間にわたり、年間

380

立方メートルの天然ガスを供給する計画である。

2017

年は

3

年ぶりのプラス成長

2017

年のロシアの成長率は

3

年ぶりのプラス成長となる+

1.5

%と発表された。個人消費(寄

与度+

1.7

pt

)と総固定資本形成(同+

0.8

pt

)が牽引役である。これに対して、純輸出寄

与度は▲

2.1

pt

と成長率を大きく押し下げた。

輸出は+

5.4

%と

7

年ぶりの高い伸びだったが、

4

年ぶりにプラス成長となった輸入が+

17.0

%と急拡大した。個人消費も

3

年ぶりのプラス成長

となったが、追い風となったのは、消費者物価上昇率が

1

月の前年比+

5.0

%から年末には同+

2.5

%に低下して実質賃金上昇率が加速したこと、インフレ抑制がロシア中銀の追加利下げを可

(7)

ロシア

経済・金融データ

出所:Haver Analyticsより大和総研作成

経済日程

注:<>内は指標の対象期間。日程は変更されることがあります 出所:Bloombergより大和総研作成

-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 -250 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 250

2016 2017 2018

(%)

(億ドル) ロシア 貿易収支

貿易収支(実額、左軸) 輸出(前年比、右軸) 輸入(前年比、右軸)

-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6

2016 2017 2018

(%) ロシア 鉱工業生産(前年比)

2 4 6 8 10 12 14

2016 2017 2018

(%) ロシア 消費者物価、政策金利 消費者物価(前年比)

政策金利(1週間物入札レポレート)

0.35 0.45 0.55 0.65 0.75 0.85 35 45 55 65 75 85

16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 ロシア ルーブル 為替相場

対ドル(左軸) 対円(右軸)

ルーブル安

2018

2月 7日 外貨準備高 <1月> 3月 6-7日 消費者物価指数 <2月>

7-8日 消費者物価指数 <1月> 7日 外貨準備高 <2月>

9日 貿易収支 <12月> 12-16日 財政収支 <2月>

政策金利 14日 貿易収支 <1月>

12-16日 財政収支 <1月> 19-20日 鉱工業生産 <2月>

15-16日 鉱工業生産 <1月> 20-21日 生産者物価指数 <2月>

19日 可処分所得 <1月> 21日 可処分所得 <2月>

失業率 <1月> 失業率 <2月>

小売売上高 <1月> 小売売上高 <2月>

実質賃金 <1月> 実質賃金 <2月>

19-20日 生産者物価指数 <1月> 23日 政策金利

(8)

インド

児玉

来年度予算が示すこと

2019

年に予定される総選挙に向けて、インドでも「政治の季節」が始まりつつある。

2

1

日に発表された

2018

年度(

2018

4

月~

2019

3

月)の連邦予算は、歳出総額が前年度当初

予算比

13.8

%(前年度修正実績見込み比

10.1

%)増と拡大志向が維持され、財政赤字の

GDP

3.3

%、これを

3

%未満に抑えるという政府目標は達成時期が先送りされた。特に目立つのが

農業関連支出、貧困層への医療費補助などの増額である。インフラ関連については、輸送は前

年度比増額される一方で電力は減額されるなど選択的であり、必ずしも高いプライオリティが

置かれているというわけではない。広く薄く、有権者に訴えかけているという印象が強い。一

方、歳入サイドでは、多くの製造業製品の輸入関税が引き上げられているが、例えば自動車で

いえば、完成車だけではなく部品についても増税対象となっている。

Make in India

に則った製

造業の国内誘致策の一環であるというよりは、歳出(の拡大)ありきで決まった予算規模のつ

じつまを合わせるために、増税が行われているという感もなくはない。

なお、モディ

BJP

政権は、ビジネス環境を改善し、投資を刺激し、経済成長を高めることが

できる政権と期待されて発足し、実際、破産倒産法を成立させ、

GST

(財・サービス税)を導入

するなど、一定の成果を上げてきた。一方、政策運営上のボトルネックとして指摘されてきた

のが上下院のねじれである。端的には地方議会の党別議席数に応じて選出される上院の勢力を

拡大させることが、スムーズな政策運営に資すると考えられてきたのである。この点について

は、

BJP

が与党、或いはその一部となる州が昨年末時点で

6

割程度まで増加し、ねじれは解消さ

れつつある。さらに今年は

8

州での議会選挙が予定されており、結果次第では上下両院におけ

BJP

の圧倒的優位の素地ができあがる。本来であればこれによって成長促進的な政策の実現

が期待されるところであるが、既述のようにモディ政権が総選挙モードにシフトしつつあると

すれば、こうした勢力図の変化も経済的には宝の持ち腐れとなる可能性が高くなる。政府のプ

ライオリティのありようを注視しておく必要があろう。

成長率は緩やかな持ち直し

月次の景気指標は好材料、悪材料まちまちである。

11

月の鉱工業生産は前年比

8.4

%、

2015

10

月以来の高い伸びを示した。そのけん引役が資本財と耐久消費財であったことも内需の堅

調を示唆する点で好材料である。一方、消費者物価上昇率が前年比

5.2

%と、

2016

8

月以来

5

%台となったことには若干の注意を要する。伸び率自体が非常に高いわけではないが、原油

価格等の変動を踏まえれば、今後もインフレ率は加速傾向が続く可能性が高い。家計の実質所

得の抑制が内需の逆風となることは無論だが、総選挙に向けて、さらなるばら撒きのインセン

(9)

インド

経済・金融データ

出所:Haver Analyticsより大和総研作成

経済日程

注:<>内は指標の対象期間。日程は変更されることがあります 出所:Bloombergより大和総研作成

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 250 300

2016 2017 2018

(%)

(億ドル) インド 貿易収支

貿易収支(実額、左軸) 輸出(前年比、右軸) 輸入(前年比、右軸)

-2 0 2 4 6 8 10

2016 2017 2018

(%) インド 鉱工業生産(前年比)

1 2 3 4 5 6 7 8 9

2016 2017 2018

(%) インド 消費者物価、政策金利 消費者物価(前年比) 政策金利(レポレート) 政策金利(リバースレポレート)

0.50 0.55 0.60 0.65 0.70 0.75 50 55 60 65 70 75

16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 インド ルピー 為替相場

対ドル(左軸) 対円(右軸)

ルピー安

2018

2月 7日 政策金利 3月 5-28日 経常収支 <10-12月>

12日 消費者物価指数 <1月> 12日 消費者物価指数 <2月>

鉱工業生産 <12月> 鉱工業生産 <1月>

14日 卸売物価指数(WPI) <1月> 14日 卸売物価指数(WPI) <2月>

15日 貿易収支 <1月> 15日 貿易収支 <2月>

28日 財政収支 <1月> 28日 財政収支 <2月>

GDP <10-12月>

(10)

中国

齋藤

尚登

2017

年の実質

GDP

成長率は前年比

6.9%に加速

2017

年の中国の実質

GDP

成長率は前年比

6.9

%(以下、変化率は前年比)と、

2017

3

月の

全人代で示された政府経済成長率目標である

6.5

%前後を十分に達成した。実質成長率の加速は

実に

7

年ぶりである。

2017

年の

6.9

%成長に対する需要項目別寄与度は最終消費支出が

4.1

%ポ

イント(

2016

年は

4.3

%ポイント)、総資本形成が

2.2

%ポイント(同

2.8

%ポイント)、純輸

出が

0.6

%ポイント(同▲

0.5

%ポイント)であった。

景気減速要因が多い

2018

2018

年の中国経済には減速要因が多く、実質

GDP

成長率は

6.3

%程度に低下しよう。

まずは金融引き締め効果の発現である。

2017

年は「金融リスク防止」をキーワードに金融監

督・管理が強化された結果、銀行間市場での資金供給が縮小し、市場金利は大きく上昇した。

「金融リスク防止」は

2018

年も重点政策として継続される。金融引き締めの効果発現により、

固定資産投資はさらなる減速が想定されよう。

住宅販売不振に伴う関連投資・消費の減速も成長率の低下要因となろう。昨秋あたりから住

宅販売は大きく減速しているが、これが不動産開発投資に影響するには、

2

四半期~

3

四半期程

度のタイムラグがあり、不動産開発投資のモメンタム低下はこれから本格化していくことにな

ろう。

2018

年の消費は住宅販売の不振が、家電、家具、内装など住宅関連商品の販売に悪影響

を及ぼす可能性が高い。自動車も住宅関連商品の側面を持つだけに要注意であろう。新築住宅

の立地は郊外へとシフトしつつあり、交通手段としての自動車の依存度は高い。居住目的の住

宅販売の低迷は自動車需要の低下をもたらすのである。排気量

1.6L

以下の乗用車については、

車両購入税率の優遇が終了し、

2018

年は価格の

10

%の通常税率に戻ることの影響も懸念される。

対米貿易黒字拡大に対する米トランプ大統領の態度硬化は一段の元高をもたらし得る。中国

通関統計によると、

2017

年の中国側の対米出超額は減るどころか、

10.0

%増の

2,758

億ドルと

なった。こうしたなか、米トランプ大統領は中国による知的財産権侵害に対して巨額の制裁を

発動する可能性に言及するなど、対中強硬姿勢を再び強くアピールし始めた。

2018

1

22

には、家庭用洗濯機と太陽光パネルの輸入増加を抑制するため、緊急輸入制限(セーフガード)

を発動すると発表した。こうした状況下では、人民元の対米ドル為替レートは元安には向かい

にくく、

2017

5

月以降の元高局面が当面は続く可能性が高い。

もちろん景気減速が明らかになれば、行き過ぎた金融引き締めは緩和されるであろうし、あ

る程度の成長率を維持するために、下半期以降はインフラ投資のさらなる増強などの景気下支

え策や、住宅価格調整が進展した一部都市では当該地域に戸籍を持たない家計に住宅購入を再

び認める(住宅の投資・投機需要を刺激する)といったテコ入れ策が打ち出される可能性があ

(11)

中国

経済・金融データ

出所:Haver Analyticsより大和総研作成

経済日程

注:<>内は指標の対象期間。日程は変更されることがあります 出所:Bloombergより大和総研作成

-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900

2016 2017 2018

(%)

(億ドル) 中国 貿易収支

貿易収支(実額、左軸) 輸出(前年比、右軸) 輸入(前年比、右軸)

5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0

2016 2017 2018

(%) 中国 鉱工業生産(前年比)

0 1 2 3 4 5 6

2016 2017 2018

(%) 中国 消費者物価、政策金利

消費者物価(前年比)

政策金利

4.8 5.2 5.6 6.0 6.4 6.8 6.0 6.2 6.4 6.6 6.8 7.0

16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 中国 人民元 為替相場

対ドル(左軸)

対円(右軸)

人民元安

(元/100円)

2018

2月 8日 貿易収支 <1月> 3月 8日 貿易収支 <2月>

経常収支(速報) <10-12月> 8-18日 海外直接投資 <2月>

8-18日 海外直接投資 <1月> 9日 生産者物価指数 <2月>

9日 生産者物価指数 <1月> 消費者物価指数 <2月>

消費者物価指数 <1月> 10-15日 マネーサプライ <2月>

10-15日 マネーサプライ <1月> 14日 小売売上高 <2月>

24日 住宅価格指数 <1月> 固定資産投資 <2月>

28日 製造業PMI <2月> 鉱工業生産 <2月>

非製造業PMI <2月> 19日 住宅価格指数 <2月>

29日 経常収支(確報) <10-12月>

31日 製造業PMI <3月>

(12)

インドネシア

永井

寛之

政策金利は据え置き

中央銀行は、

1

17

18

日に開催された金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決定した。

中銀は、昨年の

8

9

月と

2

ヶ月連続で利下げを実施したが、その後は据え置きを続けている。

中銀高官からは利下げ余地は限定的といった発言が出るなど、利下げは打ち止め感が強まっ

ている。とはいえ、すぐに引き締めに転換することもなく、当面は据え置きが続こう。中銀が

懸念しているインフレ率は、直近の

2017

12

月では食品価格の上昇が寄与したことで、前年

比+

3.6

%と

11

月の同+

3.3

%から伸び率は加速したが、

4

%±

1

%というインフレ目標のレンジ

内に留まっている。さらに、格付機関によるインドネシア経済に対する評価が高まっているこ

とや外貨準備が積みあがっていること、

2017

7

9

月期の経常収支赤字も縮小していることな

どにより、長らくインドネシア経済の懸念事項であった資本流出の懸念も小さい。

2018

年に入ってからルピアの対米ドル相場はルピア高が進んだ。インドネシア経済のファン

ダメンタルズに安心感が見られたことや利下げ打ち止め感の台頭などの国内要因に加えて、ダ

ボス会議において米国のムニューシン財務長官がドル安を容認するような発言をしたことなど

から、ドル安が進んだことも背景にある。

輸出が低調、一方投資は好調

2017

12

月の輸出は前年比+

6.9

%と

11

月の同+

13.5

%から伸び率が鈍化し、

16

10

月以

来の一桁の伸び率となった。品目別には天然ガスや石油製品などの資源関連は好調であったも

のの、農業製品の輸出のマイナス幅が拡大したことや工業製品の輸出の伸び率が低下したこと、

国別には

ASEAN

向けや米国向け輸出がマイナスに転じたことが全体を鈍化させた。

2017

年の輸

出は前年比+

16.2

%と好調で、単月ベースでは

6

月(ラマダン期間のずれ)と

12

月のみ伸び率

が大きく減速した。

12

月の減速は一時的である可能性もあるが、今後の動向を注視したい。

消費は伸び悩んでおり、

12

月の実質小売売上は前年比+

2.5

%と

2016

12

月の同+

10.6

%を

ピークに伸び率が鈍化、二輪車販売や自動車販売もそれぞれ、同▲

0.8

%、同▲

2.0

%と前年割

れしている。一方、

12

月のセメント販売は同+

9.8

%、資本財輸入は同+

20.9

%となるなど、公

共投資と設備投資どちらも好調であることが示唆されている。

先行きのインドネシア経済は、

2015

19

年に予定されている

5,500

兆ルピア

(発表された

2015

1

月の為替レートで約

51

兆円)のインフラ投資計画が進捗することで、公共投資が引き続き

インドネシア経済を下支えするだろう。

2018

6

月と

2019

年には、それぞれ統一地方選挙と大

(13)

インドネシア

経済・金融データ

※政策金利は2016年7月までBIレート、同年8月以降は7日物リバースレポレート 出所:Haver Analyticsより大和総研作成

経済日程

注:<>内は指標の対象期間。日程は変更されることがあります 出所:Bloombergより大和総研作成

-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60

-15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30

2016 2017 2018

(%)

(億ドル) インドネシア 貿易収支

貿易収支(実額、左軸) 輸出(前年比、右軸) 輸入(前年比、右軸)

-2 0 2 4 6 8 10

2016 2017 2018

(%) インドネシア 鉱工業生産(前年比)

2 3 4 5 6 7 8

2016 2017 2018

(%) インドネシア 消費者物価、政策金利

消費者物価(前年比) 政策金利※

110 120 130 140 150

11,000 12,000 13,000 14,000 15,000

16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 インドネシア ルピア 為替相場

対ドル(左軸) 対円(右軸)

ルピア安

2018

2月 7日 外貨準備高 <1月> 3月 1日 消費者物価指数 <2月>

9日 経常収支 <10-12月> 6日 消費者信頼感指数 <2月>

15日 貿易収支 <1月> 7日 外貨準備高 <2月>

政策金利 15日 貿易収支 <2月>

15-21日 国内自動車販売 <1月> 15-21日 国内自動車販売 <2月>

28日 マネーサプライ <1月> 22日 政策金利

(14)

フィリピン

中田

理惠

2017

10-12

月期の実質

GDP

成長率は前年比

6.6%へ減速

2017

年の実質

GDP

成長率は前年比

6.7

%(以下、変化率は前年比)と、

2016

年の

6.9

%より

やや減速したものの政府の成長目標

6.5

7.5

%を達成した。全体として、

2017

年は堅調な民間

消費と輸出が成長率のけん引役となった。

四半期ベースで見ると、

10-12

月期は

6.6

%と前期の

7.0

%を下回った。資本財を中心に輸入

が大きく増加したことで純輸出の寄与度が▲

1.4

pt

とマイナスに転じたことが成長率を減速

させた主な要因である。ただし、資本財の輸入増加は今後のインフラ投資の加速につながるも

のとしてポジティブに捉えることができよう。

減速傾向にあった民間消費は+

6.1

%と大きく加速した。ただし、これは税制改革により

2018

年から増税された自動車等で増税前の駆け込み需要が見られたことが影響している。また、総

固定資本形成(+

9.3

%)や政府支出(+

14.3

%)も加速した。総固定資本形成の伸びは主に公

的部門の建設増加に支えられた。総じて、増税前の駆け込みや公的部門による投資・消費等の

政策的要因が

10-12

月期の成長率を支えたと言える。

政府は、

2018

年の成長目標を

7

8

%と高水準に設定しており、インフラ整備計画「ビルド・

ビルド・ビルド」に伴う建設増加が成長の原動力となることを期待している。しかしながら、

建設の増加は資本財の輸入増加を伴う。このため、成長目標の達成の可否は、インフラ整備計

画がどれほどビジネス環境の改善による外資や国内企業からの投資の増加、及び雇用・所得の

増加を通じた民間消費の増加につながるかがカギとなるだろう。

為替は再び対ドルで下落へ

フィリピンペソは税制改革法が成立したことによる経済成長への期待の高まり等を受けて、

対ドルで

2

か月連続の上昇基調にあったが、

1

月初旬より下落へと転じた。インフラ投資の加速

を受けて資本財輸入が増加したため、フィリピンの貿易収支が

2

か月連続で過去最大の赤字を

記録したことが反落の一因であるとみられる。インフラ投資の増加が経済成長につながるまで

には時間を要するため、短期的には輸入増加による資金の流出がペソ安を引き起こす作用の方

が為替への影響は大きいと判断されたのであろう。

なお、ペソ安がただちに利上げにつながるとは考えにくい。現状のところ外貨準備は輸入額

や短期の対外債務残高に対し十分な水準である。また、消費は海外で働くフィリピン人労働者

から送金される外貨と強く関係しているが、ペソ安が進むとペソ建てで見た海外からの送金額

は大きくなるといったプラスの面もある。中央銀行総裁は、政策金利の決定にあたってはイン

フレ率を最重視するとしており、ペソの下落が輸入物価上昇による過度なインフレを引き起こ

(15)

フィリピン

経済・金融データ

出所:Haver Analyticsより大和総研作成

経済日程

注:<>内は指標の対象期間。日程は変更されることがあります 出所:Bloombergより大和総研作成

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50

2016 2017 2018

(%)

(億ドル) フィリピン 貿易収支

貿易収支(実額、左軸) 輸出(前年比、右軸) 輸入(前年比、右軸)

-10 -5 0 5 10 15 20 25

2016 2017 2018

(%) フィリピン 製造業生産(前年比)

製造業生産(価格)

製造業生産(数量)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

2016 2017 2018

(%) フィリピン 消費者物価、政策金利

消費者物価(前年比)

政策金利

0.37 0.39 0.41 0.43 0.45 0.47 0.49 0.51 0.53 0.55 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53

16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7

フィリピン ペソ 為替相場

対ドル(左軸) 対円(右軸)

ペソ安

2018

2月 6日 消費者物価指数 <1月> 3月 6日 消費者物価指数 <2月>

7日 外貨準備高 <1月> 7日 外貨準備高 <2月>

9日 貿易収支 <12月> 失業率 <1月>

12-16日 財政収支 <12月> 9日 貿易収支 <1月>

15日 海外送金 <12月> 15日 海外送金 <1月>

19日 国際収支 <1月> 19日 国際収支 <2月>

28日 銀行貸出 <1月> 22日 財政収支 <1月>

マネーサプライ <1月> 28日 銀行貸出 <2月>

(16)

タイ

永井

寛之

12

月のタイ経済は全体的に停滞

2017

12

月のタイ経済は全体的に停滞した。

12

月の個人消費指数は前年同月比+

1.1

%と

11

月の同+

4.0

%から伸び率が下落した。非耐久財消費が

4

ヶ月ぶり、半耐久財が

2

ヶ月ぶりにマ

イナスに転じたのが主な要因である。

12

月の消費者物価指数は同+

0.8

%、平均賃金が同+

0.1

となり、実質賃金は低下した。そのような中、労働省は、

2018

4

月に最低賃金を全国平均で

3.4

%引き上げることを発表した。最低賃金の引き上げは

2017

1

月以来(全国一律の一日当

たり

300

バーツから県ごとに

5

10

バーツの引き上げを行った)のものであり、消費への好影

響が期待される。

12

月の投資を見ると、設備投資指数は前年比+

0.5

%と伸び率が鈍化した。また、公共部門に

よる非金融資産の購入を見ると、同▲

25.9

%と

4

ヶ月ぶりに前年割れと、

12

月の公共投資の低

迷が示唆される結果となった。

12

月の財輸出は前年比+

9.3

%と

5

ヶ月ぶりの

1

桁成長だった。品目別にはコメなどの農作物

や通信機器などのエレクトロニクスの伸び率が鈍化した。国・地域別には、

ASEAN

、中国向けが

低調であった。

2017

年の財輸出は世界的な需要拡大からエレクトロニクスの輸出が好調であっ

たことなどにより、同+

9.7

%と

2016

年の同+

0.1

%から大きく伸び率が上昇し、タイ経済を牽

引した。

12

月の減速が一時的なものであるのか、今後の動向を注視したい。

サービス輸出に関しては、

12

月の外国人旅行者数は前年比+

15.5

%と

11

月の同+

23.2

%から

減速した。中国人旅行者数の伸び率が

11

月の同+

82.8

%から

12

月は同+

52.3

%と伸び率が鈍

化したことが主因である。ただし、

2016

10

月から

17

4

月にかけてはゼロドルツアー

1

の規

制により、

中国人旅行者数が急減しているので、

その分を割り引くために

2015

年と比較すると、

11

月は+

28.5

%、

12

月は+

27.8

%と基調は強い。

総選挙実施は来年にずれ込む見通し

2018

11

月に実施予定であった総選挙は

19

1

2

月に延期される見通しとなった。当初の

予定では、

17

10

月にプミポン前国王崩御による服喪期間が終了した後、選挙関連法の制定手

続きが行われ、

18

年の

6

月に関連法を告示・施行し、

150

日以内に総選挙が行われることとな

っていた。しかし、通常は告示とともに施行となるが、下院選挙の関連法の施行を告示から

90

日後とする法案が可決されたことで、総選挙の延期が決定的となった。総選挙の延期は、タク

シン派の更なる軍事政権への不満を生む可能性があり、これは、タイ経済にとってのリスク要

因の一つとなろう。過去にテロやクーデターが起こった際、外国人旅行者数は大きく鈍化し、

GDP

の約

1

割を占める観光業は打撃を受けた。

(17)

タイ

経済・金融データ

出所:Haver Analyticsより大和総研作成

経済日程

注:<>内は指標の対象期間。日程は変更されることがあります 出所:Bloombergより大和総研作成

-30 -15 0 15 30 45

-40 -20 0 20 40 60

2016 2017 2018

(%)

(億ドル) タイ 貿易収支

貿易収支(実額、左軸) 輸出(前年比、右軸) 輸入(前年比、右軸)

-4 -2 0 2 4 6

2016 2017 2018

(%) タイ 鉱工業生産(前年比)

-2 -1 0 1 2 3

2016 2017 2018

(%) タイ 消費者物価、政策金利

消費者物価(前年比) 政策金利(レポレート)

0.25 0.30 0.35 0.40

31 32 33 34 35 36 37

16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 タイ バーツ 為替相場

対ドル(左軸) 対円(右軸)

バーツ安

2018

2月 8日 消費者信頼感 <1月> 3月 2日 製造業PMI <2月>

14日 政策金利 消費者物価指数 <2月>

19日 GDP <10-12月> 8日 消費者信頼感 <2月>

19-24日 自動車販売台数 <1月> 19-24日 自動車販売台数 <2月>

27-28日 製造業生産指数 <1月> 28日 政策金利

設備稼働率指数 <1月> 29-30日 製造業生産指数 <2月>

28日 経常収支 <1月> 設備稼働率指数 <2月>

総合収支 <1月> 30日 経常収支 <2月>

貿易収支 <1月> 総合収支 <2月>

(18)

ベトナム

中田

理惠

国内産業に成長の兆し

2017

年の貿易収支は、特に中国向けの輸出の急増を背景として、

28

億ドルと過去最高額の黒

字を記録した。

2011

年頃まで赤字体質が定着化していた貿易構造はサムスン電子によるベトナ

ムでのスマートフォンの生産開始以降大きく転換している。しかしながら、輸出の増加分はほ

とんどが外資企業による輸出増加であり、国内企業からの輸出は伸びが見られていないことが

問題視されていた。こうした背景から国内産業の育成が課題とされてきたが、

2017

年は国内企

業による輸出が前年比+

18

%(以下、変化率は前年比)の増加を見せた。国内産業にも成長の

兆しが見られている。

旧正月の需要増加により

1

月の貿易は小幅の赤字を記録

1

月の貿易収支は輸入が+

42

%に加速したことを主因に

3

億ドルの赤字となった。輸入額の増

加は、旧正月(テト、

2018

年は

2

16

日、

2017

年は

1

28

日)前の需要増加といった季節的

要因を受けたものである。テトの時期は毎年ずれるため前年比は

1

2

月の平均で見るべきであ

ろう。輸出は中国向けを中心に旺盛な海外の需要を受けて堅調に伸び、+

33

%となった。鉱工

業生産指数は中国向けスマートフォン・同部品の輸出急増と歩調を合わせるように、

2018

1

月は+

20.9

%の高い伸びを見せている。

貸出金利引き下げ要請

フック首相は金融機関に対し貸出金利の引き下げを要請した。中央銀行総裁はこれを受けて

貸出金利をマクロ経済の状況に見合った水準まで引き下げることを

2018

年の方針に掲げた。

1

月以降、複数の国内大手商業銀行が貸出金利の引き下げ方針を発表している。

政府は成長の下支えのため緩和的な金融政策を継続しており、貸出金利の引き下げもその一

環と言える。緩和的な政策により

2017

年の銀行貸出残高は+

18.2

%と高い伸びを見せ、年後半

2

四半期連続で実質

GDP

成長率が

7

%を上回った。

同時に不良債権処理の本格化に乗り出している。

2017

年は不良債権処理機関である

VAMC

がよ

り効果的な不良債権処理を進められるように国会決議が行われた。決議内容により、

VAMC

は不

良債権や抵当資産を債権の簿価を下回る価格で取引すること等が可能となった。また、政府に

より

2020

年に向けた不良債権処理の枠組みが設定された。総じて

2017

年は不良債権処理のベ

ースを作った

1

年であり、

2018

年は

VAMC

による不良債権の買い取りと売却が本格化するとみら

れる。

緩和的な金融環境は担保資産価値の上昇を伴うことが多いため、不良債権売却の際の損失を

抑えることが期待される。しかしながら、緩和的な環境下で無理に貸出を増やせばまた新たな

(19)

ベトナム

経済・金融データ

注:消費者物価指数は2016年1月より新基準。それ以前は旧基準値を記載。 出所:Haver Analyticsより大和総研作成

経済日程

注:<>内は指標の対象期間。日程は変更されることがあります 出所:Bloombergより大和総研作成

-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 -30 -20 -10 0 10 20 30

2016 2017 2018

(%)

(億ドル)

ベトナム 貿易収支

貿易収支(実額、左軸) 輸出(前年比、右軸) 輸入(前年比、右軸)

0 5 10 15 20 25

2016 2017 2018

(%) ベトナム 鉱工業生産(前年比)

-2 0 2 4 6 8 10

2016 2017 2018

(%) ベトナム 消費者物価、政策金利 消費者物価(前年比) 政策金利(リファイナンスレート)

160 170 180 190 200 210 220 230 240 20,800 21,100 21,400 21,700 22,000 22,300 22,600 22,900 23,200

16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 ベトナム ドン 為替相場

対ドル(左軸) 対円(右軸)

ドン安

2018

2月 6-13日 国内自動車販売 <1月> 3月 1日 製造業PMI <2月>

25-28日 小売売上高 <2月> 6-13日 国内自動車販売 <2月>

消費者物価指数 <2月> 25-31日 小売売上高 <3月>

貿易収支 <2月> 消費者物価指数 <3月>

鉱工業生産 <2月> 貿易収支 <3月>

鉱工業生産 <3月>

(20)

2018

1

新興国動向(政治・経済)

出所:各種報道より大和総研作成

4日 インド インド準備銀行(中央銀行)が近々新たな10ルピー(約18円)紙幣を発行する模様であると報道された。政府は偽造紙 幣の防止とキャッシュレス経済の普及に向けて、流通紙幣の刷新を進めている。

5日 タイ タイ中央銀行のマティー副総裁は、対米ドルのバーツ相場が民間セクターに打撃を与えるほど急激に変動した場合は介 入する方針であると明らかにした。

8日 タイ 政府は、年内に経済特区「東部経済回廊(EEC)」に関する説明会を世界各地で開催し、民間投資の誘致を行う。特 に、中国、日本、欧州からの誘致獲得を目指し、年間1,000億バーツ(約3,500億円)以上の投資を目標とする。

8日 中国 タイ

中国人民銀行(中央銀行)は、タイ中央銀行と通貨スワップ協定を3年間延長することで合意・調印した。規模は700億 元(約1兆2,120億円)または3,700億タイバーツ(約1兆2,920億円)と従来から変更はなく、満了時には双方の同意を 得て延長が可能となっている。

8日 フィリピン EFTA

大統領府は、ドゥテルテ大統領が17年12月8日に欧州自由貿易連合(EFTA)との自由貿易協定(FTA)に署名したと発表 した。既に上院に提出されており、承認されれば国内手続きは完了する。同FTAにより、フィリピンは非関税であらゆ る工業製品や水産物をEFTAに輸出可能となり、農産物の関税障壁も大幅に減少することとなる。

8日 ベトナム

ブオン・ディン・フエ副首相は、仮想通貨の法的枠組みについて1月末までに素案を提出するよう、ベトナム国家銀行 (中央銀行)に求めた。政府は仮想通貨について、8月までに取り扱い方針、年内に法的枠組みを決定し、19年6月まで に課税を開始する方針としている。

9日 中国 フランス

習近平国家主席は、北京で仏マクロン大統領と会談を行った。マクロン氏の大統領就任後、初めての訪中となる。会談 では、包括的な戦略的パートナーシップの発展や温暖化対策における協力で合意し、マクロン大統領は中国の「一帯一 路」構想への仏の参加を表明した。仏企業経営者も同時に訪中しており、エアバスの中国工場の組み立て能力強化や中 国企業の仏製品購入などでも合意に至った。

9日 ベトナム

政府は、国内の通関手続きを一本化する「ナショナル・シングル・ウインドー(NSW)」を東南アジア諸国連合 (ASEAN)の「ASEANシングル・ウインドー(ASW)」に接続させたい意向を示した。ASWはASEANの通関書類交換の電子 化を進めるもので、年内の接続を目指す。国内では既に通関手続きの一部がNSWを通じて行われている。

10日 インド

政府は海外直接投資の規制緩和を発表し、小売、航空、電力、不動産などの分野で規制を改定した。単一ブランド小売 業や不動産仲介サービスでは外資出資比率100%まで自動認可とし、航空では国営エア・インディアへの外資参加を可 能にした。また電力取引所について、外国機関投資家や海外ポートフォリオ投資家に対する制限を撤廃した。

10日 中国メコン5カ国

カンボジア・プノンペンにおいて、中国とメコン川流域5カ国(タイ、カンボジア、ベトナム、ラオス、ミャンマー) の首脳会議が開催された。メコン川流域は中国の「一帯一路」構想の重要拠点の一つであり、中国からは李克強首相ら が出席した。会議では、域内インフラの整備や経済協力、貿易促進など、22年までの行動計画を採択した。

10日 フィリピン

政府とアジア開発銀行(ADB)は、ミンダナオ地方の道路整備に向け、3億8,000万米ドル(約425億5,000万円)の融資 契約を締結した。政府が1億2,300万米ドルを負担し、総事業費は約5億米ドルとなる。また、政府による金融市場改革 にADBが3億米ドルの融資をする交換公文も交わされた。

11日 中国 カンボジア

中国の李克強首相はカンボジアを訪問し、フン・セン首相と会談を行った。両国は、高速道路や送電線の整備などのイ ンフラ面及び技術移転や農業近代化、職業訓練・教育などのソフト面での覚書計19件(総額18億人民元(約308億 円))を交わした。

12日 中国

深セン市の前海深港現代服務業合作区に、「一帯一路」を巡る国際トラブルの解決を手掛ける仲裁機関として「前海 『一帯一路』国際商事訴調対接センター」が開設した。同時に、一帯一路沿線国・地域の法律文献などを無料で閲覧す ることができるオンラインプラットフォームも立ち上げられた。

12日 中国 常万全国防相は、中国を訪問中のミャンマーの海軍トップ、ティン・アウン・サン司令官と会談し、両国国境付近の治 安維持のため軍事協力を強化する方針を示した。

12日 ブラジル

政府は、投資ファンドによる仮想通貨への投資を規制すると発表した。ブラジル証券取引委員会は「ブラジル国内で活 動するファンドは投資として仮想通貨を直接購入することは認められない」との文書を公開した。個人投資家による投 資は禁止していない。

13日 インドネシア インドネシア中央銀行は、通貨に関する中央銀行令「2011年第7号」に基づき、国内では仮想通貨を合法的な支払い手 段として認めないと通告した。

14日 インドネシア ジョナン・エネルギー・鉱物資源相は、年内に国内の電化率目標を当初の95.15%から97.5%まで引き上げることを明 らかにした。17年の電化率は94.9%(目標92.75%)であった。19年末までに99.99%の達成を目指している。

15日 インド イスラエル

モディ首相は、インド訪問中のイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、水利用や農業、対テロ対策などでの協力を強化 する共同声明を発表した。イスラエル首相のインド訪問は03年のシャロン首相(当時)以来である。

15日 インド カンボジア ASEAN

カンボジア国民議会(下院)は、東南アジア諸国連合(ASEAN)とインドが14年に調印したサービス及び投資分野の自 由貿易協定(FTA)を批准した。15年のカンボジアとインドの貿易総額は1億8,700万米ドル(約207億円)であり、今回 のFTA正式批准によって両国間の貿易や投資の拡大が期待される。

15日 中国

中国の政策金融機関である国家開発銀行の胡懐邦董事長は、アジア金融フォーラムで、「一帯一路」構想に対する中国 からの投資額が今後5年で1,500億米ドル(約16兆6,300億円)に達する見通しを明らかにした。中国からの一帯一路沿 線国・地域に対する投資額は、14-16年の3年間で500億米ドルを超えている。

15日 中国 ドイツ フランス

ドイツ及びフランスの中央銀行は、外貨準備の通貨に中国の人民元を追加すると発表した。欧州中央銀行が17年6月に5 億ユーロ(約679億円)相当の人民元を外貨準備に加えることを発表したことを受けての措置である。両国共に詳細の 発表はしていない。

15日 ミャンマー ラオス

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